ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

夏凜の細い指先が肩口の生地を強く掴んだまま離れない。


夕暮れの茜色が二人の影を長く床に引き伸ばしていた。



「……やめてくれ、夏凜」



海斗は顔を背け、身をよじるようにして夏凜の手を振りほどいた。


床に散らばった藁半紙を踏まないよう一歩下がり、壁際に追いやられたように背中を丸める。


太い黒縁メガネの奥で、前髪の影に隠された瞳が痛ましげに揺れていた。