ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

「ちょっと! 待ちなさいよ!」


夏凜は咄嗟に駆け寄り、海斗が羽織っているダボついたブレザーの背中を、両手で力任せにぐいと引き戻した。


「うわっ……!?」



バランスを崩した海斗の手からプリントが再び散らばり、薄暗い床へと舞い落ちる。


けれど、夏凜の意識はそんなことには向いていなかった。


引き寄せたブレザー越しに伝わってきた感触。


型崩れした分厚いウールの奥から、手のひらに直接伝わる確かな骨と筋肉の硬質な手応えに、夏凜の全身を電撃のような衝撃が貫いた。