ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

石畳を叩く激しい足音が、静寂を切り裂いて迫ってきた。

荒い呼気と、擦れ合うスーツの音。

泣き腫らした瞳を抱え込み、生け垣の陰で震えていた夏凜が息を呑んで顔を上げた瞬間、青白い月光を背負った大きな影が、階段の上へと滑り込んできた。


「――夏凜!」


その声を聞いた瞬間、夏凜の心臓が激しく跳ね上がった。


海斗は夏凛の元へ駆け寄ると、迷うことなく冷たい敷石の上に膝をついた。

「な、なんで……来ないでよ……!」

夏凜は必死に顔を背け、破れたドレスの裾で腫れ上がった右足を隠そうとした。