ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

走るたびに、先ほどまで抱き寄せていた夏凜の甘い香りと、柔らかな感触が蘇ってくる。


自分が無神経に逃げ出して傷つけたのに、転校先から戻ってきた変わり果てた自分を見つけて、怒りながら手を引いてくれた。


――「あんたのその素材、私が最高に仕上げてあげる!」


強がりで、負けず嫌いで、誰よりも情に厚い、世界で一番不器用な少女。

下らない邪推に囚われ、あいつの血のにじむような純粋な想いを疑った自分を、海斗は殴り倒したいほどの激情で呪った。

中央の噴水を通り過ぎ、渡り廊下へと続く西側の石階段に差し掛かった、その時だった。

ひときわ冷たい夜風が吹き抜け、青白い街灯の光が石畳の隅を照らし出す。

段差の途中に、何かが落ちていた。