ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

月明かりが冴え渡る中庭は、昼間の賑わいが嘘のように静まり返っていた。


銀色に縁取られたトピアリーの並木道、暗がりの中に白く浮かぶ噴水。


遠く講堂から漏れ聞こえるオーケストラの残響が、夜風に吹かれて細く揺れている。



海斗はネクタイを乱暴に緩めながら、広い視界を総動員して周囲を索敵した。


研ぎ澄まされた動体視力と空間把握能力が、夜闇の輪郭を素早く切り取っていく。


(どこだ……どこに行った、夏凜……!)


胸の奥が焼き切れるように熱い。