ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

「夏凜……!」


呆然と立ち尽くしていた海斗がハッと我に返り、夏凜の背中を追って駆け出そうと身を乗り出す。


その瞬間、壁際で爪先を立て、必死に目尻の涙を指先で拭っていた美玲の姿が視界をかすめた。


失恋の痛みに唇を噛みしめる美玲。


海斗の足が一瞬だけ躊躇い、止まりかけた――その時だった。


「――踊ってくれないかな?」


静寂を縫うように、涼やかで優しいテノールの声が降ってきた。