ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

完璧な多幸感を味わってしまったからこそ、失う痛みが何倍にも膨れ上がって胸を焼き尽くす。


これ以上ここにいれば、人前も体裁も全部かなぐり捨てて、子どものように泣き叫んで海斗に縋り付いてしまう。



夏凜は溢れ出す大粒の涙を隠すように顔を背けると、海斗の胸板を両手で強く突き放し、重ね合っていた手を思い切り振りほどいた。


「えっ……夏凜!?」


焦燥に満ちた海斗の呼び声を背中に浴びながら、夏凜はドレスの裾を両手で乱暴に持ち上げ、弾かれたように走り出した。


銀のピンヒールが甲高い音を立ててフロアを蹴る。


ざわめき立つ生徒たちの間をすり抜け、ペールブルーのシフォンを激しく翻しながら、夏凜は大講堂の重厚なマホガニー扉を押し開けて、夜の帳の中庭へと飛び出していった。