ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

誰の手を取ろうと、誰とステップを踏もうと、胸の奥底に空いた巨大な風穴が埋まるはずなどない。


前方の影がすっと足を止め、こちらへ向けて右手を差し伸べてくるのが見えた。


形式通りのダンス。ただの儀礼的なパートナー交代。


夏凜は感情を殺し、伏し目がちのまま自らの白く華奢な手を、差し出されたその掌の上へと無造作に滑り込ませた。


――その、瞬間だった。