ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

(ウチの夢……)


夏凜は東堂の整った顔を見上げる。


(素敵な彼氏と夢のようなファーストキス……)


目の前の東堂貴志は、まさに「素敵な彼氏」だった。洗練され、全校生徒が憧れ、認める、非の打ち所のない完璧な彼氏。


(東堂先輩なら、こんなすれ違いなんか起こらないよ……。最高の彼氏になってくれる……良かったじゃない……ウチ、頑張ってきたんだから)


そう言い聞かせても、心に空いた大きな穴は全く満たされない。水をどんなに注ぎ込んでも、水面は見えてこない。


(なんでウチは「素敵な彼氏」と「夢のようなファーストキス」をしたいんだっけ?)



東堂のエスコートは完璧で、夏凜はまるで雲の上にいる心地だった。


それでもーー。

それでも。後から後から、自分自身に問いかける。
「これでいいの?」と。