ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

9-3. 蘇る小5の記憶


「アンタさ、かのぴが昔から抱えてる夢、聞いたことある?」


美玲の静かな問いかけに、海斗は微かに眉根を寄せた。


「……夢?」


「そう。かのぴ、普段は過去のプライベートな話なんてウチらにも絶対に漏らさないんだけどさ。一回だけ、放課後に二人でクレープ食べてた時にポロッと打ち明けてくれたことがあるの。『ウチがこんなにオシャレもプロデュースも必死に勉強してるのは、小学校の時からずっと叶えたい夢があるからだ』って」


大講堂の幕の向こうから漏れ聞こえるざわめきが、急速に遠のいていく。


美玲は一言ひとことを刻み込むように紡いだ。


「『素敵な彼氏と、夢のようなファーストキスをする』。あいつは照れ隠しみたいに笑ってたけど、あの時の瞳は全然冗談じゃなかった。絶対に誰にも譲れない、たった一つの祈りみたいだったよ」



――小学校の時から、ずっと叶えたい夢。

――素敵な彼氏と、夢のようなファーストキス。