「……何か、あるでしょうか、綾瀬さん」
海斗の返答は、どこまでも硬く、形式ばった敬語だった。
美玲はふっと自嘲気味に口元を歪め、小さくため息を吐き出した。
「敬語、やめなよ。……アンタさ、さっきからずっと上の空でしょ。ウチの隣に立って、腕まで組んでるくせに、視線は一秒たりともウチを見てない」
「それは……そんなことはありません」
「嘘つかないでよ。ウチ、これでも女だからさ。男の目の色くらい、見れば一発で分かるんだよね」
美玲は腕を組み、装飾幕の隙間から大講堂の奥――生徒会専用の入場口がある方向へと視線を向けた。
そこには、東堂貴志にエスコートされて入場を待つ、ペールブルーのシフォンドレスを纏った夏凜の姿があるはずだった。
海斗の返答は、どこまでも硬く、形式ばった敬語だった。
美玲はふっと自嘲気味に口元を歪め、小さくため息を吐き出した。
「敬語、やめなよ。……アンタさ、さっきからずっと上の空でしょ。ウチの隣に立って、腕まで組んでるくせに、視線は一秒たりともウチを見てない」
「それは……そんなことはありません」
「嘘つかないでよ。ウチ、これでも女だからさ。男の目の色くらい、見れば一発で分かるんだよね」
美玲は腕を組み、装飾幕の隙間から大講堂の奥――生徒会専用の入場口がある方向へと視線を向けた。
そこには、東堂貴志にエスコートされて入場を待つ、ペールブルーのシフォンドレスを纏った夏凜の姿があるはずだった。


