ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

大講堂の裏手に位置する生徒会専用の控室は、開演直前の微かな緊張感と、甘やかな香水の匂いに満たされていた。


壁一面に設えられたアンティーク調の姿見の前で、夏凜は自らの全身を映し出し、小さく息を吸い込んだ。


鏡の中に佇んでいたのは、いつものギャルとしての元気な制服姿ではなく、息を呑むほど洗練された一人のレディだった。


身に纏っているのは、夜明けの澄み切った空を溶かし込んだような、淡いペールブルーのシフォンドレス。

デコルテのラインを美しく引き立てる繊細なドレープと、ハイウエストから足元へ向けて柔らかに広がるロング丈の裾。動くたびに幾重にも重なったシルクシフォンがふわりと揺れ、淡い光を浴びて水面のような微細な陰影を紡ぎ出している。

トレードマークだった金髪ツインテールは、今夜ばかりは優雅なウェーブを効かせた大人っぽいアップヘアへと結い上げられていた。