氷の王子の、溶けない独占欲。





どれくらい経ったのか、遠崎くんはゆっくりと本棚についていた両手を離した。




彼の体温が、あのシトラスの香りが、遠ざかっていく。




でも、私の体は硬直したみたいに、本棚に背中を預けたまま一歩も動くことができなかった。








「……今日はもう帰れ。荷物は俺が明日片付けるから」








遠崎くんはフイッと顔を背けると、バッグを肩にかけて足早に図書室を出て行ってしまった。