氷の王子の、溶けない独占欲。





なぜか、彼の長い前髪の隙間から覗く耳の先端が、夕日のせいだけではないように、ほんのりと赤くなっている気がした。








「……迷惑だなんて言ってねぇよ。……視線がチラチラうるせぇから、気になるって言っただけだ、バカ」








遠崎くんはぶっきらぼうにそう吐き捨てると、乱暴にマウスをカチカチとクリックし始めた。


冷たいけれど、どこか不思議な彼の態度に、私は疑問を抱きながら、再び作業に戻ったのだった。






それにしても、夕暮れの光に包まれた遠崎くんは、まるで1枚の絵画みたいに綺麗だなあ。




女の子達が騒ぐ理由も分かる気がする。










そんなことをのんびり考えながら、私は日本文学の棚の前で足を止めた。


手にあるのは、少し厚めの小説。


戻す場所は、私の頭よりもずっと高い、一番上の棚の奥だった。




背伸びをしてみるけれど、指先が棚の端にかすかに触れるだけ。