「っ……!」
「お前……本当に、俺がそばにいないと一歩も歩けねぇの?」
頭上から、低くて、呆れたような、でもどこか酷く優しくて甘い声が降ってくる。
遠崎くんの左腕は、私の腰をしっかりと抱きすくめたままで、離そうとしない。
周囲の買い物客が「あら、あの子達……」と微笑ましそうにこちらを見ているのが分かって、私の顔は限界まで赤くなった。
「遠崎くんっ、ごめんなさい! もう大丈夫だから、離して……!」
「……無理。離したらまたすぐ転ぶだろ」
遠崎くんはそう言うと、私の腰を抱いたまま、空いた右手で重い模造紙の束と買い物カゴを軽々と持ち上げた。
「会計して学校戻るぞ。……捕まってろ」
半分抱き寄せられるような体勢のまま、私たちは2階のレジカウンターへと歩いていった。
遠崎くんの長い腕が私の腰に回されたままで、歩くたびに彼の体温が直接伝わってくる。
恥ずかしさで頭がどうにかなっちゃいそうだった。


