「ひゃっ……!」
目が合いそうになって、私は慌てて手元にあった分厚い本で顔を隠した。
心臓がうるさいくらいにトクントクンと跳ね上がる。
「……おい、桜庭」
遠崎くんの、低くて少しハスキーな声が静かな室内に響いた。
「は、はいっ!」
私が本の上から目だけを出すと、遠崎くんは頬杖をついたまま、けだるげに私を睨みつけていた。
「お前、さっきから1冊戻すのに何分かけてんだよ。……手が止まってんだけど」
「あ、ご、ごめんなさい! どの棚か迷っちゃって……っ!」
「嘘つけ。俺のことジロジロ見てただろ」
ええっ!? ば、バレてたのっ!?
顔がカッと熱くなる。私が盗み見していたのが、彼にとっては不快だったに違いない。
というか、盗み見されて嬉しい人なんていないよね……!
「ごめんなさい! 迷惑だったよね……!」
私がペコペコ頭を下げると、遠崎くんはフイッと露骨に顔を背けた。


