エスカレーターの段差のせいで、いつもは見上げるはずの彼の瞳が、ちょうど私の目線と同じ高さにある。
「……何見てんだよ」
「うっ、ううん!? なんでもないよっ!」
慌てて前を向いたけれど、背中に受ける彼の視線がなんだか熱く感じて、2階に着くまでの数十秒がとても長く感じられた。
2階の画材コーナーに到着すると、そこには大きな棚に何十種類もの色画用紙や、巨大な模造紙がずらりと並んでいた。
「わあ、すごい……! こんなにたくさん種類があるんだ。遠崎くん、イベントの看板は何色がいいかな? 秋だから、やっぱりオレンジとか茶色?」
私が楽しそうに画用紙を指差すと、遠崎くんは私の横から手を伸ばし、棚の一番上にあった鮮やかな赤色の画用紙をすっと引き抜いた。
「これ」
「えっ、ちょっと派手じゃっ……」
「……お前に似合うから、これでいい」
遠崎くんはフイッと顔を背けながら、その画用紙を買い物カゴに放り込んだ。


