氷の王子の、溶けない独占欲。





ハッとして顔を上げると、いつの間にか遠崎くんが立ち止まり、振り返って私を見下ろしていた。








「あっ、ご、ごめんっ! 遅かったよね」








私が慌てて一歩詰め寄ると、遠崎くんは酷く不満そうな顔で、私のローファーのつま先を睨みつけた。








「そうじゃねぇよ。なんでそんな後ろ歩いてんだよ。……隣、来い」




「えっ?」




「離れて歩いてたら、バッグ2つ持ってる俺が変な奴だろ。早く」








遠崎くんはフイッと顔を背けたけれど、その耳の先端がほんのり赤い。








「あ、うん……!」








私は急いで彼の隣に並んだ。肩が触れ合いそうな距離になると、あの落ち着くシトラスの匂いがして、さっきまでの不安が少しだけ和らぐ。








「あの、遠崎くん。……私と胡桃くんがうるさく喋ってたから、イライラさせちゃった……?」








私が恐る恐る尋ねると、遠崎くんの足がピタッと止まった。