「えっ!? 遠崎くん、バッグ……!」
「遅い。置いてくぞ」
遠崎くんは私のバッグを持ったまま、長い脚でさっさと図書室を出て行ってしまう。
私は慌ててその後ろ姿を追いかけた。
廊下に出ると、遠崎くんはわざと歩幅を大きくしているのか、みるみるうちに私との距離を開けていく。
あっ、あれ……?
やっぱり、遠崎くん、怒ってるのかな……。
一ノ瀬先輩のおかげで喧嘩は落ち着いたけれど、遠崎くんの横顔は、さっきからずっと冷たいまま。
学校の廊下ですれ違う生徒たちが、「あ、氷の王子だ……」と話している声が聞こえるけれど、彼はそんなのお構いなしに、ただひたすらに前だけを見て歩いている。

