氷の王子の、溶けない独占欲。



バスが跳ね上げた水しぶきは遠崎くんの制服を激しく濡らしていたけれど、私は濡れるどころか風すら感じなかった。










私の肩を抱き寄せている、彼の大きな左手。




そこから伝わってくる強い力と熱に、私の心臓が、激しくドクドクと鳴り響き始める。






……なんだろう、これ。


心臓が、すごく苦しい……っ。






戸惑っていると、遠崎くんは水しぶきが収まったのを確認して、ゆっくりと私を解放した。






掴まれていた肩が急に軽くなって、なんだか少しだけ寂しいような、不思議な気持ちになる。








「……濡れて、ねぇな?」








遠崎くんは、スッと私を見下ろした。








「う、うん。遠崎くんが守ってくれたから、全然大丈夫だよっ。……でも遠崎くんの服が」




「これくらいすぐ乾く。……おい、早く改札に行けよ」








遠崎くんはフイッと顔を背けると、駅の入り口をあごで指した。