氷の王子の、溶けない独占欲。









「いい。気にするな」




「気にするよっ! 風邪引いちゃうのは遠崎くんの方だよ。もっと真ん中に……!」








私は慌てて、遠崎くんの持つ傘の柄に手を伸ばした。


彼の長い指の上に、私の手が小さく重なる。








「おい、触るな……!」








遠崎くんは弾かれたように私の手を振り払うと、私を睨みつけた。




いつもは氷みたいに冷たい彼の瞳が、今は揺れていて。








「ごめんっ! か、勝手に触っちゃってっ……」








私が驚いて縮こまると、遠崎くんは自分の口元を左手で覆い、フイッと顔を背けてしまった。








「そうじゃない。お前、本当に……距離感おかしいだろ」




「……えっ」




「男の手に、自分から触るな。……お前が左側に寄れば、俺は濡れねぇから」








遠崎くんは掠れた声でそう言うと、グイッと自分の右腕を私の方に引き寄せた。