氷の王子の、溶けない独占欲。

私が見上げて尋ねると、遠崎くんは正面を向いたまま、ポケットに左手を突っ込んでぶっきらぼうに答えた。








「は?  違う。水たまりの泥が跳ねるだろ。ブレザーにつくのが嫌なだけ」








あっ、なるほどっ! 


服が汚れるのが嫌だったんだ。


遠崎くんって、綺麗好きなのかな?








私は彼の言葉にすっかり納得して「 遠崎くんの制服、いつも綺麗だもんね」と笑顔で頷いた。




すると、遠崎くんは一瞬だけ足を止め、呆れたような視線を私に落とした。








「お前……本気で言ってる?」




「え? 何が?」




「……いや、なんでもねぇ。お前に期待した俺がバカだった」








遠崎くんは、はぁ、と深い深いため息をついて、再びゆっくりと歩き出した。




どうして彼がそんなに呆れているのか分からなくて、私は首を傾げた。