「は? お前、午後ずっと雨予報だったの知ってて忘れたわけ? ……どこまでドジなんだよ」
「うう……。でっ、でも! 少し待てば……」
「待っても止まねぇよ、これ」
遠崎くんは冷たく言い放つと、迷いのない足取りで一歩、雨の中へと踏み出した。
そして、バサッと大きめのネイビーの傘を開く。
お、怒らせちゃった……?
呆れて行っちゃったよね。
少し寂しい気持ちで彼の後ろ姿を見送ろうとした、その時。
遠崎くんはくるりと振り返ると、傘を自分の右側に大きく傾け、空いた左手で私に向かって「おい」と手招きをした。
「……突っ立ってないで、早く入れ」


