氷の王子の、溶けない独占欲。










4限目、5限目が終わり、最後の6限目のチャイムが鳴り響く頃には、窓ガラスをパチパチと叩く激しい雨の音が、教室の中にまで聞こえてくるようになっていた。








「うっわ最悪! めっちゃ降ってきたじゃん!」




「ねえ! 傘、持ってきてたっけ!?」








放課後になった瞬間、あちこちから生徒たちの悲鳴のような声が上がる。




私も慌ててスクールバッグの中を探ったけれど――入っているはずの折りたたみ傘が見当たらない。








「嘘……。お母さん、玄関に置いておいてくれたのに、持ってくるの忘れちゃった……」








自分の要領の悪さを、これほど呪ったことはないと思う。




私は今朝の陽葵との会話や遠崎くんへの緊張で、完全に傘のことを頭から消し去っていたのだ。








「ゆらー! 雨ヤバいね! 傘持ってる?」








陽葵が荷物をまとめて駆け寄ってきた。