先生が出席を取る声をBGMに、私は右斜め前に座っている遠崎くんの背中を見つめる。
彼は背筋がすっと伸びていて、座っているだけでも絵になっていた。
今は先生の方をまっすぐ見ているけれど、その横顔は氷みたいに冷ややかで、私に話しかけられたことなんてすっかり忘れているように見えた。
「──次、桜庭。……桜庭ー?」
「は、はいっ! 元気です!」
突然名前を呼ばれて、私は慌てて大きな声で返事をした。
クラスの何人かがクスッと小さく笑う。
ふ、普通に「はい」って言えばよかったのに、緊張しすぎて変な返事になっちゃった……。
恥ずかしさで俯きそうになったその瞬間。
遠崎くんの肩が、少しだけ動いた。
彼がほんの少しだけ首を右に傾けて、前髪の隙間から後ろの私をチラリと見るような視線を感じた。

