「遠崎くん、おはようっ」
私が声をかけると、遠崎くんの動きがピタッと止まった。
ゆっくりと上がってきたその切れ長の瞳は、朝の光を浴びて、昨日よりもどこか鋭く見える。
周囲のクラスメイトたちが、「え、桜庭さん、遠崎くんに話しかけるの……?」「冷たくあしらわれるよ……!」とハラハラしながらこちらを見ているのが分かった。
けれど、私は気にせず言葉を続ける。
「昨日は、助けてくれて本当にありがとう……! 遠崎くんがいてくれて、本当によかったっ!」
心からの感謝を込めて、私はにこりと笑いかける。
すると、彼の眉がピクリと少し動いた。
彼は私をじっと見つめたまま、数秒間、固まってしまった。

