氷の王子の、溶けない独占欲。





入ってきた人物を見た瞬間、それまで騒がしかった教室が一瞬で静まり返る。


ツヤのある綺麗な黒髪に、少し気怠げな足取り。




ブレザーをラフに羽織り、ポケットに両手を入れたまま歩いてくるのは──遠崎くんだった。










相変わらず、周囲の女子たちの熱い視線を浴びているけれど、本人は1ミリも興味がなさそうに、冷ややかな視線を前方に向けたまま自分の席へと向かっていく。








あっ、遠崎くんに……昨日のお礼をもう一回ちゃんと言った方がいいよね……!






私は陽葵の横を通って、遠崎くんの元へと歩き出した。




後ろで陽葵が「えっ、ちょっとゆら! 何する気!?」と声を上げている。




遠崎くんが自分の席にバッグを置いたタイミングで、私は彼の机の前に立った。