氷の王子の、溶けない独占欲。



私は、昨日の夕方の出来事を思い出していた。






確かに最初の一言は怖かったけれど、本を落としそうになった時は、後ろから支えて、代わりに棚にしまってくれた。


不器用だけど、本当は仕事に真面目で、優しい人なんだと思う。








「でもね、さりげなく助けてくれたんだよ。すごく親切な人だな、って思ったっ!」




「……はえ?」








そう言って笑うと、陽葵は素っ頓狂な声を上げた。


丸くした目で、じーっと私の顔を凝視してくる。








「え、ちょっと待って。あの氷の王子が、人を助けた……? それ、本当に遠崎くんの話?」




「うん! バランス崩したのを、後ろから支えてくれて……。だから、皆が言うほど怖い人じゃないよっ」








私が微笑むと、陽葵はガタッと椅子を鳴らして立ち上がり、私の両肩をガシッと掴んだ。