氷の王子の、溶けない独占欲。

聞き返した私に、遠崎くんはもう一度冷たい視線を向けると、くるりと背を向けてカウンターの方へと歩き出してしまった。






『次からは、俺を呼べ』






冷たい口調の中に混ざったその言葉が、なぜだか私の胸の奥に引っかかった。




カウンターに戻った遠崎くんがキーボードを叩く音が、図書室に響いている。




私は自分の胸に手を当てて、小さく首を横に振った。








うん、気のせいだよね。


遠崎くんはただ、私がまたドジをして、本を破いたり怪我したりするのが面倒なだけ。


……間違いないっ!








納得して深く頷くと、私は次の本の配架に取りかかった。




けれどその時、遠崎くんが自分の口元を覆いながら、信じられないほど苦々しい表情でパソコンの画面を睨みつけていること。






私はそれに──気づいていなかった。