「遠崎くんが親切な人でよかったっ。他の男の子だったら、ちょっとびっくりしちゃったかもしれないけど」
私がほっとして、にこりと微笑むと、遠崎くんはまるで苦いものでも口に含んだかのような表情をした。
「……意味わかんねぇ。お前、本当に警戒心ってものがないの?」
「そっ、そんなことないよ! 夜道はちゃんと気をつけて歩くようにしてるしっ……!」
「そういうこと言ってんじゃねぇよ」
遠崎くんは、イライラしたように爪先でトントンと本棚を叩く。
なぜ彼がこんなに怒っているのか、私にはさっぱり分からなかった。
やっぱりドジをして仕事を増やすような私は、彼にとって目障りなだけなのだろうか。
「ご、ごめんね。これからはちゃんと踏み台を使うね」
「分かればいい。……次からは、危ないと思ったら俺を呼べ」
「……えっ?」

