氷の王子の、溶けない独占欲。





温かい体温が離れていって、少しだけ冷たい空気が私たちの間に流れ込む。




彼は片手で自分の前髪を乱暴にかき上げると酷く不機嫌そうな顔で私を見下ろした。








「男に後ろから抱きしめられて、なんでそんな平然としてるわけ」




「えっ、抱きしめられて、って……遠崎くんはただ、本を代わりに片付けてくれただけだから……」








私は不思議に思って、小首を傾げた。


彼は図書委員の仕事を親切に手伝ってくれただけだ。


そこに他意なんてあるはずない。


そもそも、遠崎くんは女子に一切興味がない「氷の王子」なのだ。


私みたいな、特に目立つところもない地味な女子を相手にするわけがないのに……。