すれ違ったときにも感じた、ほんのりシトラスのような、清潔感のあるいい匂いが鼻先をかすめる。
遠崎くんの体は、思っていたよりもずっと大きくて、逞しい。
すっぽりと彼の腕の中に閉じ込められる形になってしまって、私は身動きが取れなくなった。
「あっ、ありがとう遠崎くん。助かったっ」
私は遠崎くんが助けてくれたことが嬉しくて、お礼を言おうと首を後ろへ巡らせた。
「っ……!」
振り返った瞬間、すぐ目の前に遠崎くんの顔があった。
その距離は、わずか数センチ。
私の唇が、彼の制服の襟元に触れてしまいそうなくらい、あり得ない近さだ。


