誰かにぶつかる。
「きゃっ、ご、ごめんなさい!」
慌てて顔を上げると、そこには見知らぬ男の子が立っていた。
「大丈夫?」
人懐っこい笑顔。
優しそうな目元に、柔らかい雰囲気。
男の子は、私を気遣うように首を傾げた。
「う、うん!ごめんね、前が見えなくて……」
「ははっ、すごい人だもんな。俺も全然見えなかったし」
そう言って、彼はクラス分けの表を見上げた。
「でも、だんだん人が減ってきてるから、もうすぐ見えるんじゃない?」
彼の言うとおり、前にいた人たちが自分のクラスを確認し終えると、少しずつ人だかりがはけていった。
「ほんとだ!」
私はもう一度、表に目を向ける。
いちのせ、いちのせ、いちのせ……。
「あっ!あった!」
思わず声が弾んだ。
「5組だ!」
「えっ、ほんと!?小春、一緒だ!」
隣で柚乃ちゃんも嬉しそうに笑った。
「やったぁ! 高校でも一緒だね!」
「うん!」
喜び合っていると、さっきの男の子がひょいっと顔を覗かせた。
「俺も5組だった」
「えっ、そうなの!?」
「うん!」
男の子は、にっと笑った。
その口元から、ちらりと八重歯が覗く。
「俺、朝倉悠真(あさくら ゆうま)。よろしくな!」
「一ノ瀬小春です!よろしくね、朝倉くん」
「私は神原柚乃!よろしくね!」
「おう、よろしく!」
こうして、私たちは三人で教室へ向かうことになった。


