アンネの日記




アンネの日記  

僕は親の希望で早稲田大学に入ったが
将来に対して、はっきりした夢や希望がなかったので
凡ゆることに意欲がなかった。
小説家になりたいと言う仄かな希望はあったが
雲を掴むような夢であると思っていた。
英文学の授業はつまらないからうわの空。
興味の無い授業には出ないから親友もいない。

ただ、1人好きな女子がいた。
湘南高校から来た淑やかな女性だった。
でも人間として自信が無いから、
彼女に積極的にアプローチする勇気はなかった。
彼女のことは今でも気に留めている。
友達になっていれば良かったと今でも後悔している。
こんな生活では、人生の意味が解らず
いつ死んでも構わないと思っていた。

そんな僕を見て、両親は心配したが
経済的な余裕は無かったから、しきりに
僕にバイトを勧めた。違った世界を見れば
人生観も変わるだろうと思ったのかも知れない。
でも手頃なバイトが無かったので、僕は
無為徒食の日々を送った。

そんなある日、親友ではない大学の友人達が
なぜか我が家を訪ねて来て、両親に僕の大学での
生活態度を告げた。両親は僕の将来を心配した。
彼らはまた、大学の定期テストがあることも伝えた。
でも、僕の精神状態は相変わらず不調だった。

数日後、定期テストが始まった。僕は全く勉強していないから、適当に解答するしか無かった。
そして最終日に英国史のテストがあった。
全く興味が無かったので、白紙で出そうと思った。
でも、ふと良い考えが浮かんだ。
解答用紙の真ん中に大きな字で
  
  「 こんなテストより、アンネの日記の
   1行の方が、どれほど価値があるか。」

と書きしたためた。
僕は0点だと思っていたが、なんと教授は優をくれた。
それまで僕は空虚な人生を送っていたが、その日以降、
僕は心の中で、生きてみようと思う気持ちが湧いて来た。