それでも、キミだけは

保健室に行くと、私以外の生徒は誰もいなかった。
だから、すんなりと保健室の先生に伝えることができた。
「急に、髪がバッサリ抜けたんです。もともとこのくらいありました」
そう言って生徒手帳を見せるとおどろかれた。
「まぁ……。こんなに一気にバッサリと抜けた……?」
「はい。なので、先生に病院に行くようにと」
「そうなのね。じゃあ、早退にするけど……。あなた、この前も保健室来なかった?」
「ああ、はい、来ました」
先生、覚えてたんだ。
なんとなくうれしい。
「体調ずっと良くないの?」
「いいえ、なんかちょっと寝不足なだけだと思います」
本当はうちのクラスのイジメが理由なんだけどね。
そんなこと言ったって状況が変わるわけじゃないし、よけいに私の立場が悪くなるだけ。
だったら何も言わないほうがいい。
「そうなのね……。このまま病院に行きなさい。お金は持ってきてる?」
「はい」
「先生は付き添えないんだけど……。大丈夫?」
「大丈夫です。一人で行けます」
私を病院まで付き添おうって……。
どんだけお人よしなんだっ。
保健室の先生、優しいな……。
ちょっぴり感動しながら、学校を早退して保健室を出た。