優しい死神さんと、空気じゃない私

 それから玲奈が再び死神の姿を目にしたのは、二日後の爽やかな朝のことだった。

 朝もやの中、空気に含まれる水分が粒子のようにきらめく、不思議な光に満ちた朝だった。

 ふと見ると、彼の隣には一人の美しい女性が佇んでいる。

 けれどその装いはどこか古風で、現代の洋服とは色合いも仕立ての形も違っていた。

 女性は死神に向かい、感謝を込めるように深く頭を下げていた。

 二人の邪魔をしてはいけないと玲奈が立ち止まると、それに気づいた女性は玲奈にも穏やかに会釈を返した。

 その直後、彼女は温かな光の粒に包まれ、そのまま空気の中にすーっと溶けるように消えていっていったのだった。

 死神は彼女を見送ったあと、それまで保っていた表情を激しく崩した、胸を鷲掴みするように手で押さえると、その場にうずくまり苦しみ始めた。

「死神さん……!?」

 ただごとではない様子に、玲奈は弾かれたように駆け寄っていった。

「大丈夫!? 死神さん!」

 玲奈は咄嗟に彼の背中に手を回そうとしたが、その手は虚しく彼の身体をすり抜け、深々と沈み込んでしまう。