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放課後、昇降口へ行くと後ろから誰かに「天音さん」と声をかけられた。
振り向くと、そこにいたのは霧谷くんだった。
「少し話したいことがあるんだけど、ちょっといいかな?」
なんとなく緊張した様子で言った霧谷くんを見て一瞬不安が過りつつも、特に急ぎの用事もない私は「うん」と頷いた。
場所を変えようと言われてたどり着いたのは、人気のない校舎の裏庭だった。
「急に呼び出してごめん。これから受験で色々忙しくなるから、その前に言った方がいいと思ったんだ。天音さんとは、高1のときしか同じクラスになったことないけど……」
その後の言葉を言い淀んだ霧谷くんに、やっぱり最初に感じた不安は的中したと感じた。
「俺は天音さんのことが好きだから、もし良かったらつきあってくれないかな?」
「……気持ちは嬉しいんだけど、ごめんなさい」
“まさか” という驚きと “やっぱり” という思いが交錯して、それだけ言うのがやっとだった。


