推しカプの邪魔はしたくないのに、何か間違えたようです

 担任に頼まれた用事を終えて教室へ戻ると、夕陽の差し込む教室に一人だけ残っている生徒がいた。

「あれ、真由美?」

 廊下側の席で頬杖をついていた堀川真由美(ほりかわまゆみ)が、私の声に顔を上げる。

「遅いよー」

「えっ、待っててくれたの?」

「まあね。今日は部活休みだし」

 そう言って、真由美は机の上に広げていた問題集を閉じた。
 どうやら私が用事を終えるまで、宿題をしながら待っていてくれたらしい。

 真由美とは中学からの付き合いだ。

 高校も同じところへ進み、クラスまで一緒。
 なんだかんだで、もう五年近く一緒にいる。

 背が高く、すらりと伸びた手足に短い髪。
 バスケ部ではエースを務めていて、その辺の男子よりよっぽどカッコいい。

 本人はまったく興味がないようだけれど、女子の間には密かなファンクラブまであるらしい。

 そんな真由美と、地味で眼鏡をかけた図書委員の私。
 見た目も性格も全然違うのに、不思議と昔から気が合った。

 そして真由美は、私の最大の秘密――私が、BLをこよなく愛する腐女子だということ――も知っている。

 ちなみに、真由美自身にはそっちの趣味はない。

 でも、私が新しく見つけた作品について熱弁すると、一応最後まで聞いてはくれる。
 ただ、感想はたいてい、
『よく分かんないけど、美織が幸せならいいんじゃない?』で終わるのは残念だ。
 だけど、自分が興味の無い話を聞いてくれるだけで、優しいと思う。