すると、小森君とじゃれていたはずの田中君が私の方へ顔を向けた。
「高梨もよろしくな」
「へ?」
「隣の席」
「あ……うん。よろしくお願いします」
「なんでそんな緊張してんの?」
「してない!」
「してるじゃん」
田中君が笑う。
それからなぜか、私の顔をじっと見てくる。
「……なに?」
「いや、あれ? 高梨……」
「なに?」
すると、なにを思ったのか、田中君は顔をすっと近づけてきた。
えっ、なに!?
近い。
近いって。
近い近い近い!
いやいやいや。
君が近づくべき相手は私じゃない。
前にいます!
あなたの小森君が!
前を向いてください、田中君!
私のことは、教室の備品とでも思ってください。
備品となった私は、そっと二人を見守りますから。
それが、私の幸せなのに……。
「ちょ、田中君……」
「動かないで」
「え?」
さらに顔が近づく。
待って待って待って!
さすがに、これは近すぎる!
いったい何が起きてるの~!?



