────朝は、相変わらず静かだ。
でも、夜の東堂家に行く時と帰る時に、あの声が聴こえるようになったから、解決したのかそうでもないのか分からなくなってしまった。
やはり、あの声の主が誰なのか知るべきなのだろうか────
「……何か悩み事でもあるの?」
疑問を呟いた声にハッと我に返った。
休日、約束通りに叔母と一緒に駅前のショッピングモールに来ていたのだが、どうやら私は、昼ご飯のハンバーガーを持ったまま考え事をしてしまっていたらしい。
私を映す瞳には、心配の色が滲んでいる。
や、やばい…!!早く否定しないと…っ
私は慌てて首を横に振った。
「あ、えっと、別に悩みがあるわけじゃなくて…っ」
「そう?…学校、楽しい?」
「…うん、楽しいよ。最近は新しい友達もできたんだよ」
脳裏に浮かぶのは、容姿が瓜二つの澪央くんと氷雨くん。
鹿目くんは…友達だと思っていいのか、ちょっと分からないけど、不思議体験を通して知り合った彼らを思い出して不思議な気持ちになった。
「そっか…何もないなら良いんだ。でも何か困ったことがあったら私に相談するんだよ」
「…うん。ありがとう、伊織さん」
叔母は、私が毎夜起こる不思議な出来事を話していないので知らない。
悩みがないわけではないけど、精神的に追い詰められている訳でもないから、ね。
でも、そう言ってくれることは純粋に嬉しかった。
叔母さんの言葉は、いつも安心感と心強さがあってホッとする。
四年前、交通事故に遭って病院にいた私を引き取ってくれた『あの日』から───────。



