─澪央side─
「…いつの間にか消えてるじゃん。『ナツミヤ』」
三時になった途端に音もなく消えた彼女に落胆を隠せない。
ああ、コイツに構うんじゃなかった…。
「それにしてもお前のそんな姿、初めて見たな。面白いもん見たわ」
「…クソ、言うんじゃなかった…っ!」
「別に聞いてもないことをベラベラ喋っておいてそれはねーだろ。しっかしまぁ、こんなにも分かりやすいのになぁ…ぶくくっ、風邪引いてるって思われてやんの…しっかりしてるように見えるのに意外と鈍感なんだな、『ナツミヤ』は」
「……おい、お前、ぜってー夏宮に絡むなよ」
「ふっ、何、焦ってんの?」
「…焦ってねーよ。つーか約束してくれよ」
「なぁ、ナツミヤに告白しねーの?」
「おい、話を逸らすな」
「あの子なんだろ?お前が昔から好きだって言ってる奴」
「………………ほら、そろそろ部屋に戻るぞ」
「…あー、待って。クッキー、1枚だけ食わして」
「ったく」
しかも、1枚だけって言ったのに3枚も食ってるし。
「寝る前に歯磨かないとな」
「俺は菓子食べてないから先に寝るな」
「おー。明日も来るかな、夏宮」
「……別にリビングに来てもいいけど、夏宮には余計なこと言うなよ」
「……」
「おい、返事」
結局返事がなかった自由人の鹿目と喋りながら、俺はリビングの電気を消した。
◇



