午前2時の東堂さん家─夏宮星乃のミステリアスな日々。─



「あのさ。さっき思ったんだけど、あそこに隠れている間は暇だと思うからヘッドホンと小説を貸そうか?」


彼がそんな提案をしてくれたのは、一人目のお客さんが帰ってすぐのことだった。


そ、それはめちゃくちゃ助かる…っ!!


胸の前で両手を組んで何度も頷いた私の様子を見た澪央くんは、「予想通りの反応」と言って笑っていた。


「じゃあ今持ってくるから待ってて」


「ありがとう…っ!!……あ、でも澪央くん、リビングから離れても大丈夫なの?」


「ああ、ほんの少しだけだから平気だよ。当分は誰も来ないと思うから」


「そうなんだ」


この家には複数のルールがあるみたいだったから、何の問題もなくてよかった。


澪央くんがリビングから姿を消す。


しん…っと静かになった空間に妙にソワソワしてしまう。


「(と、とりあえず座って待っていよう…)」


一旦座って落ち着かせようとお菓子を一つ頂いたタイミングで、ガチャッ、ドアが開く音がした。


「(あ、意外と早かっーーー)」


音がした方に目を向けると、黒色のヘッドホンを手にした澪央くんの隣に誰かがいた。


………ん?あれ?なんか…澪央くんのとなりにイケメンがいる…それも今朝に見た茶髪の男の子と似ているような…?……いや、間違いなく本人だ!


今朝に目が合ったイケメンくんが、私を見ながら口を開く。


「ふーん…俺とタメのヤツが夜中に幽体離脱して東堂家に来ている話、マジだったんだな」


「えっ?」


「もうお前、部屋に戻れよ…ごめん、夏宮。コイツ俺の友達でさ。今日泊まりに来てるんだ」


「言われなくても戻るし」


あ…泊まりに来ているんだ。なるほど。


「あの、澪央くん。今日の朝…あ、もう昨日かな?昇降口で会ったよね…?」


「そうそう。あの時、俺の隣にいたヤツ」


「一瞬だったのによく覚えていたな」


「えっと…ビックリするくらいに綺麗な男の子だったので」