突然の敬語禁止令にうろたえていると、澪央くんが小首を傾げながらお願いをしてきた。
あ、あざといよ、澪央くん。私、ファンでもないのに、うっかりときめいてしまったよ。
こんなの、断れないに決まってるじゃないか…。
「わ、わかった…」
「よし」
澪央くんは満足そうに頷いたあと、「じゃあ、夏宮。そろそろ来客が来るから」と言ってテーブルの上にあるノートを開いた。
来客?
来客って…………
“この家にはね、2時になると幽霊が来るんだよ”
ニコニコしながら私に説明していた氷雨くんの言葉を思い出して、さぁーっと青ざめた。
「そ、それは…オバケが来るってことですか!?」
「ん?そうだけど……ああ、夏宮はホラーが苦手なんだっけ?」
「むちゃくちゃ苦手ですよ!! オバケとか本当に無理…!! ちょ、澪央くん、ちょっとあそこに隠れてもいいですか!?」
「別にいいけど、また敬語になってるぞ。……動きが早いな」



