さりげなくお菓子の入ったケースを私の方に寄せてくれたので、そこから1個だけ取った。選んだのは、昨日も食べた私が好きなチョコクッキー。
そんな私に、澪央くんがフッと瞳を細めて笑っていたことも知らずに、かわいいデザインの袋を開封する。
「……それにしても、まさか、またここに来るとは思わなかったです」
「東堂(俺の)家に来る約束は、もう果たされたのにな」
「分からないことだらけですね…」
あまりに不思議な事が起こりすぎて、もはや笑うしかなかった。
とりあえず今回も無事に体に戻れることを信じて、私はチョコクッキーを口の中に放った。大好きな甘味に顔が緩む。美味…!!ああ、疲れた体に染み渡る…!!
「疲れているのか?」
「…えっ!?」
「声に出ていたぞ」
「えっ、声に出てた…?」
無意識だった。思わず口元に手を当ててしまう。
「……私、幽体離脱の影響もあるのか、今日は一段と疲れがヤバくてですね…」
「ああ、成る程」
「それでまだ課題をやっていなくて…一旦仮眠を取ろうとスマホにアラームを掛けたんだけど、そのあとの記憶が一切ないから、今ちょっと焦っていまして。
今日の課題はいつもより多めだから、出来れば3時に起きてやりたいんだけどなぁ…」
でも、昨日は朝まで一回も起きなかったから無理かなぁ、と思いながら、ふと思い出したことを話したら、「俺、連絡しようか?」と言ってくれた。
「えっ、い、いいんですか…?」
「うん。3時までは起きているから全然いーよ」
「っ、ありがとう…!! あ、でも、もし既読がつかなくても気にしないで放置してくださいね。全然、大丈夫なんで…というか仕方ないので……」
「(声、震えてる…)………分かった。てか夏宮さ、タメ口でいいよ。つーか、敬語禁止な。」
「えっ…で、でも、」
「俺ら、同級生なんだし。な?」



