「─────っ!?!?」
目の前にいたのは、澪央くんだった。驚いて後退りしたら、今度は体が後ろに傾いた。
あ、やばい。落ちる…っ!!
「夏宮っ!!」
酷く焦った顔をした澪央くんが腕を掴んでくれたお陰で、私は椅子から転げ落ちなくて済んだ。
────びっ、ビックリしたぁ……っ!!!
心臓が五月蝿いくらいにバクバク鳴っている私が無事だと分かると、澪央くんはホッとした。
「あー、びっくりした…大丈夫か?」
「ご、ごめん…大丈夫。ありがとう」
謝罪とお礼を述べると、「いーよ」澪央くんは私を椅子に座らせると手を離して、それから困ったように笑った。
「────で、今日も幽体離脱してきたのか?夏宮」
どうやら、私はまた東堂家に来てしまった模様だ。
リビングに飾られた時計盤は、2時10分と示している。
カチコチ、カチコチ。規則正しく秒針を刻む音が、鼓膜を突き刺してくる。



