「星乃ちゃん」
あまり気にしないようにしていた疑問を思い出して再び不安になっていると氷雨くんに名前を呼ばれた。
視線を時計盤から氷雨くんに移動すると、いつの間にか私を見ていた黒い瞳と視線が交わった。
……黙っていたら東堂くんと見分けがつかなくなりそう、なんて思っていると、「これからも弟と仲良くしてね」とニコニコ顔で言われた。
「そ、それはもちろんです…!!」
「ふふっありがとう。…君との約束をこんなに早く果たせるとは思わなかったから、接点がなくなったら交流しなくなってしまうんじゃないかって、ちょっと気になってしまって」
「……え?それって…」
「明日の朝になれば分かるよ」
カチッ
「今日は寝坊しないようにね」
私に忠告した声は、大きな扉に隠されて見えなくなった。
東堂家に行く前にも見た扉に驚いていると、キィィィ…、 勝手にドアが開いて、そこから伸びてきた黒い手に捕まられて中に引きずりこまれたのは一瞬の出来事だった。
その時に私を東堂家に誘(いざな)ったあの優しい声は聞こえなかったし、世界に朝日が昇っても、いつまで経っても私を呼んではくれなくて。
部屋にけたたましく鳴り響いたアラームの音で、目が覚めたのは初めてだった。
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