それを氷雨くんに見透かされた上にチョコクッキーを1個取って私に渡してきた。
「はい、どうぞ」
「えっ、あ、ありがとうございます」
「ふふ、お茶のお代わりがしたくなったら、いつでも言ってね」
「は、はい」
私の返答に氷雨くんは満足げに笑うと、今度はチョコを一気にパクパク食べた。えっ嘘でしょ?この人、何の躊躇いもなく食べたよ…
別の意味でドキドキさせられながら私もチョコクッキーの袋を開けてゆっくり咀嚼する。氷雨くんが淹れてくれた紅茶も美味しくて心が満たされていく。
「────それで、さっきの話なんだけど」
お互いが食べ終わったタイミングで、氷雨くんが口を開いた。
「私がどうやってここに来たのか…ですよね?」
「そうそう。是非とも聞かせてほしいな」
氷雨くんがテーブルの上で両腕を組んでニコニコ笑っている。
…双子なのに、全然違うなぁ。
頭の隅でそんなことを思いながら、私は数十分前に起きた出来事を説明するために記憶を遡った。
「えっとですね……東堂く…み、澪央くんからのメッセージに返事をした後に不思議な夢を見て」
「へぇ、不思議な夢って?」
「自分が、何もない闇の中に居たんです。そしたら真っ白な蝶々がどこからともなく現れて…とりあえず追い掛けていたら、その蝶々が急に居なくなって。でもその直後に見たことがない扉が目の前に現れて」
「扉が?」
「はい。突然現れた謎の扉を開けても大丈夫なのかな?って疑心暗鬼になっていたときに、聞こえたんです。いつも朝に聞こえる謎の声が、『星乃、こっちにおいで』…って」
「……」
「初めて言われた言葉だったので、ビックリして…でもその声を聞いたら居ても立ってもいられなくなって、扉を開けてみたら、あなたがいました」



