「………。」
でも、中の様子が気になるのも本音だ。
キョロキョロと周りを見渡しても、眩しくない程度に発光する扉は目の前にある一つだけ。
恐怖と好奇心が良い勝負をしているせいで、謎の扉の前で両腕を組む羽目になってしまった。
私は臆病なので、自分の中で納得のいく答えが見つかるまで思考を回して、うーんうーんと唸っていた時だった。
《…星乃、こっちにおいで》
「ーーーーっ!?」
聞こえる筈のない声がして反射的に顔を上げた。
しかも、おはよう以外の言葉を初めて聞いたから動悸が止まらない。
「─────…」
考えるよりも先に体が動いていた。あんなに躊躇っていたのに、何かに突き動かされたようにドアノブに手を掛けて、ノックもせずにガチャッと扉を開けると同時にそこに勢いよく飛び込んだ。
でも、きっと私が怖いと思うものは存在しない。
そして、その直感はやがて確信に変わる。
「────今日は、誰も来ないはずなのに…」
突撃のごとく現れた私に驚いて目を見開いている人と目が合った。足を組みながらポツリと何かを呟いた彼は、私がよく知っている人だった。
「…東堂くんっ!?」
私の言葉に目を大きく見開いた彼は、文庫本を手にしながらコテンと首を傾げる。
「もしかして、澪央の友達?」
「…え?」
「…ああ、混乱させてごめんね。俺は、澪央の兄の氷雨(ひさめ)って言うんだ」
「東堂くんの…!?」
なんと、東堂くんにソックリな『彼』は、東堂くんのお兄さんだった。
東堂くんって双子だったの…!?
勝手に年上だと思っていたからポカンとしてしまったが、すぐに我に返った。
胸に片手を当てて挨拶を述べた氷雨くんに、慌てて頭を下げた。



