「あれ?誰かと思ったら東堂じゃん。おっはよ~」
莉々子が東堂くんに向かって手を振ると、くるりと私の方に向き直ってパチンとウィンクをした。
「んじゃ、星乃。今すぐ東堂くんのところに行ってきなよ」
「え!? 東堂くんは莉々子に用があるんじゃ…」
「いやいや、星乃に用があって来たんだよ!ねー?」
莉々子が何かをつつくみたいに私を指差しながら再度東堂くんの方に向かって声をかけると、東堂くんはコクッと静かに頷いた。
えっ、用があるのは私なの…?
…もしかして、昨日の事を詳しく聞きに来たとか…?
それか、別のこと?
とりあえず、戸惑いを隠せないまま席を立つ。
自分に向けられる複数の視線に変な汗が出そうだ。
今だけ透明人間になりたい…。
そんなことを思いながら私は楽しそうに手を振る莉々子に見送られながら、ドアから離れるようにゆっくり移動した東堂くんの後ろを追いかけたのだった。
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