顎に人差し指を当てながら、久しぶりに再会した彼女の様子を思い出す。
嫌な感じどころか何も無かったのだ。……やっぱり、詳しく聞くべきだったのかもしれない。
少しだけ反省していると、両腕を組んだ兄が短く頷いた。
「じゃあ、澪央。念のためにもう一回、話を聞いてみなよ」
「…でもアイツ、俺に話してくれるかな」
「それは澪央次第かな」
「…。……頑張るわ」
俺の返答に、兄は漆黒の瞳を三日月に細めた。
右手に収められている01:59と表示されているスマホの横にあるボタンを押す。
暗くなった画面に自分の顔が映った機械を、そっと裏返してテーブルの上に置いた。
カチ
コチ
カチ
コチ
カチッ
………ピンポーン
ああ、今日も、午前2時の我が家に訪問者がきた。…また、この時間がやって来てしまった。
哀しい現実から背けるように瞳を閉じると、兄が後ろにある扉に向かって言った。



